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日本は文明国か

 フランスの新聞社襲撃について、日本のメディアの報道を見ていると、日本は「文明国」の仲間になっていないのではないか、という感想を抱かざるを得ない。

 新聞社の言論に対して、暴力が加えられ、ジャーナリストが殺された。言論に対する暴力は許さない。このような立場で、欧米の世論にはコンセンサスがある。その新聞社の社論、報道姿勢が好きかどうか、という議論の前の段階で、言論に対する暴力は絶対に許さない。ここには、だれもが同意しなければならないし、欧米では、ほとんどのメディア、世論が同意している。

 ところが、昨夜、新聞が復刊されたことを報じるNHKをはじめとする日本のメディアは、2つの問題を混同していた。①言論に対して暴力が加えられていいのか、という問題。②イスラム教徒が嫌がる内容の報道・風刺画は不適切ではないか、という問題。

 ①②の問題は、分けて論じられるべき問題だ。①が問題になっている時に、②を論じると、「テロの被害を受けた新聞社は自業自得」、というテロリスト側の主張の肩を持つことになる。

 民族、宗教集団、といった団体に対する名誉毀損は認められるか。従来は、名誉毀損は個人に対する個別具体的な名誉毀損である、という考え方が主流だった。それが、20世紀末ごろから、集団に対する名誉毀損、集団に対する言語による不法行為、という議論が徐々に盛んになってきた。近年は、ヘイトスピーチ、という角度から議論が活発化している。

 ただ、このような②の問題を、今、シャルリ・エブトを批判する文脈で取り上げることは、表現の自由、言論の自由を掘り崩す恐れがある。結果として言論に対する暴力を正当化してしまう可能性があるからだ。

 先進諸国の憲法で絶対的に保障されている精神的自由の限界はどこにあるか。このような議論は、今ではなく、このような事件が起きる前に議論しておく必要がある。また、このような事件が起きてしまったら、しばらく時間を置き、①②の議論は別、という整理をしつつ、②の議論がなされるべきだ。
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プロフィール

山本 清

Author:山本 清
08035905526
inzaiyamamoto@gmail.com
21年前に千葉ニュータウン本埜村滝野の住民になり、合併問題(市町村合併に一部の政治家が反対した問題)を機にリコール事務局長を務めて本埜村議になり、合併後は印西市議に。東大法卒。元新聞記者。現在は印西市内で英語教室を経営。

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