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熱血漢の佐渡裕、精緻なケルン

 今年12月に、ケルン放送交響楽団が日本で「第九」を演奏する。指揮者は佐渡裕。

 1978年の夏。私はフルート奏者になる、と心に決め、音楽大学進学を目指す名古屋の中学3年だった。佐渡さんは関西のクラシックの名門、堀川高校(京都)の2年。日本フルート協会のキャンプで一緒になった。同じグループになり、アニーローリーのフルート四重奏版を4人で合奏した。合奏がうまくいった時、佐渡さんは、「あ~、ええ曲やな~」、とつぶやいて、目に涙を浮かべていた。

 印象的な、大柄な、太った、暑苦しいほど情熱的な、関西弁でよくしゃべる、にいちゃんだった。

 その後、佐渡さんは京都市立芸大のフルート科を出た後、指揮者を目指すが、不遇の20代前半を過ごす。フルートから指揮へと転向したものの、職はなく、大阪大学管弦楽団などアマチュア・オーケストラを指揮する日々だった。佐渡さんがベルリン・フィルを振るようになってもアマチュアとの競演を大切にするのは、自分のスタートを忘れていないからだ、と私は思う。

 私が佐渡さんに出会った日本フルート協会のキャンプから9年後の1987年。佐渡裕は、アメリカの音楽キャンプ、タングルウッドでバーンスタイン、小澤征爾に出会ったことがきっかけで世界的指揮者に成長していく。今やベルリン・フィルやケルン放送響を指揮するようになった。

 一方、ケルン放送響は、私が1995年から97年までドイツ・ケルンで2年半、仕事をした時、ケルン・フィルハーモニー・ホールで40回以上聴いた。当時、ケルン放送響のコンサート・ミストレスは四方恭子(現・東京都響コンミス)。オーボエのトップは宮本文昭。心を揺さぶられた演奏の後には、楽屋に押しかけた。精緻で美しい音を出すオーケストラだ。

 東日本大震災発生から11日後。佐渡裕はケルン放送響を説得して、ドイツでチャリティ・コンサートを開催した。「人類は皆、兄弟になる」というシラーの歌詞にベートーベンが曲をつけた「第九」を演奏し、義援金を集めた。佐渡さんらしい行動力だった。

 ほぼ20年ぶりにケルン放送響の音を、今度は日本で聴くことができる。しかも、率いるのは、あの時の関西弁のにいちゃん、佐渡裕。なんとか、安いチケットが手に入った。今、幸せを、かみしめている。
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プロフィール

山本 清

Author:山本 清
08035905526
inzaiyamamoto@gmail.com
21年前に千葉ニュータウン本埜村滝野の住民になり、合併問題(市町村合併に一部の政治家が反対した問題)を機にリコール事務局長を務めて本埜村議になり、合併後は印西市議に。東大法卒。元新聞記者。現在は印西市内で英語教室を経営。

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