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熟議、スイスの例

 「熟議デモクラシー」を語る場合、スイスの例がよく参照される。国政の例だが、印西市の状況を考えるために参考になる。

 スイスは、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スイス語、という4つの言語で国民が分断されている。そして、それぞれ、文化、考え方も異なり、政治への要求も異なる。まず、「異なる」という事実を認めることがスタートだ。

 ドイツ語圏だけで、人口の60パーセント以上を占める。ドイツ語だけで、永久的な過半数を取ることができる。もし、従来の「集計デモクラシー」の制度を採用すれば、内閣のポストは常にドイツ語の語圏出身者が全部を取ることになる。そして、政治の果実もドイツ語が丸取りする。

 しかし、スイスは近代初期以来、今で言うところの「熟議デモクラシー」を採用してきた。分けることができるものは、徹底的に比例配分する。重要な公的ポストは常に比例配分。すべての語圏の代表に内閣や中央官庁の重要ポストを割り振る。地上波テレビのチャンネルも、比例配分。分けることができない重要事項については、簡単に多数決をせず、時間をかけて話し合い、少数派の意向も可能な限り反映させる。21世紀に入って、徴兵制を継続するか、という議論についても、スイスは国民投票を実施し、多数派の政治家だけでは決めなかった。

 このような政治は、1970年代以降、政治学で注目され、「多極共存型デモクラシー」と呼ばれた。これは、まさに今で言う「熟議デモクラシー」の考え方と一致する。英米型の「集計デモクラシー」とは異なるデモクラシーがスイスに存在した、ということを、政治学が発見した。

 ポイントは、①原則は比例配分。そして、②少数派への配慮。さらに、③熟議、つまり議論することによって、各議員の意見が変わりうる、という前提で、時間をかけて話し合うこと。

 今、印西市議会には「熟議」はない。
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プロフィール

山本 清

Author:山本 清
08035905526
inzaiyamamoto@gmail.com
21年前に千葉ニュータウン本埜村滝野の住民になり、合併問題(市町村合併に一部の政治家が反対した問題)を機にリコール事務局長を務めて本埜村議になり、合併後は印西市議に。東大法卒。元新聞記者。現在は印西市内で英語教室を経営。

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